代表挨拶

2025年4月より代表職(第6期)を務めることになりました。PSIMコンソーシアムは2007年の設立以来,法科大学院における法実務教育の発展を目指し,教材作成,教育方法論の研究,教員養成プログラムの開発など,様々な活動を行ってきました。こうした取組みは,「理論と実務の架け橋」という法科大学院の教育理念を形にする上で,少なからぬ役割を果たしてきたと考えています。
とはいえ,近年,法曹養成制度は目まぐるしく変化しています。たとえば,2019年6月には「法科大学院の教育と司法試験等の連携等に関する法律」が改正され, 2020年4月からは学部で「法曹コース」が始まり,2023年からは法科大学院の在学中に司法試験を受験することが可能になりました。また, 2022年4月からは,これまでの「現代社会」に代わり,高校の必修科目として「公共」が導入されました。「公共」は主権者教育の1丁目1番地などと言われるように,法教育と親和性の高い科目です。さらに,法曹志望者の減少傾向が続く中で,2024年の「我が国における法曹志望者数に関する調査報告書」では,中高生までに法曹を志望するか否かを決めているケースが大多数に上っていることが明らかにされました。社会に目を転じても,IT化が益々進展していることに加え, AIの活用があらゆる分野で期待されています。
こうした動向に迅速に対応すべく,PSIMコンソーシアムでは,2023年に会則を改訂し,高校生を視野に入れた取組みを開始したほか,新たに映像教材やITやAIを活用したデジタル教材の開発に着手しています。こうした新たな時代においてもなお,私たちの使命が「プロセスとしての法曹養成制度」の下で質の高いすぐれた法曹の養成に貢献することである点に変わりはありません。
今後とも先進的かつ実効的な法実務教育のための研究・開発をコンソーシアム全体で進めて参る所存です。
2025年4月
PSIMコンソーシアム代表 宮木 康博
(名古屋大学大学院法学研究科 教授)